1-1 セックスはお互いの親密感の象徴

 

 

セックスを考える上で、避けて通れないのが「性欲」です。
こんなふうに言うと、特に女性には少なからず抵抗がありますよね?

 

 

「だってわたし、性欲なんてないし…」
「セックスなんてしなくても、ほかに楽しいこといっぱいあるよ!」
「女はふつう、自分から 『したい』 なんて思わないものでしょ?」

 

 

…そう思ってしまう気持ちはよくわかります。

 

 

ただ、これは統計的に見ても明らかなのですが、
夫婦仲がギクシャクしたり、いろいろな悩みを抱えているカップルは、
ほとんどの場合、セックスがうまくいっていません。

 

 

セックスとは、心理学的には「お互いの親密感の象徴」と見ることができます。
したがって、セックスレスとは、夫婦の親密感に問題がある状態ということになります。
夫婦に限らず、長い春の未婚のカップルでも同じような悩みを抱えていることがあります。

 

 

ですから、たとえセックス以外の状況にはお互いなんの不満も感じていなかったとしても…。
ふたりの間にセックスがない、ということ、
「それ自体」がすでに問題である、と考えたほうがいいかもしれないのです。

 

 

今は、お互いなんの不満もなくても、将来的には「浮気」や「離婚」など、
大きな問題の引き金になることも考えられますので…。

 

 

なぜセックスレスになってしまうのか?
その原因は、はっきりいえば世の中のカップルの数だけ存在します。
それぞれ特有の事情があるため、ひとくくりにすることはできませんが、
代表的なケースをふたつほど挙げてみましょう。

 

 

 

【近すぎる距離感】

 

 

セックスレスの原因として、1、2位を争うのが、相手との距離感の問題です。

 

パートナーに対して、まるで親と子のような、
あるいは兄と妹、姉と弟のような…。
そんな、近すぎる距離感のために、セックスの対象として見られなくなってしまうのです。

 

これは、人もうらやむラブラブなカップルほど陥りやすい関係といわれています。
相手のことが大好き、いつもいっしょにいたい、もっともっと愛したい、愛してほしい…。

 

パートナーに対して性的欲求を感じるのは、
相手を自分の元につなぎとめておきたいという気持ちがはたらくからです。
だから、相手がもう決して自分から離れないと確信してしまうと、
自分の「性」で相手をつなぎとめておこうとする気持ちが薄らぎます。

 

 

このケースでもっとも多いのが、子どもが生まれたとき。
子どものいるセックスレスのカップルに聞くと、
夫婦がお互いに「パパ」「ママ」などと呼び合っている例が多いのです。

 

 

妊娠や出産を経験すると、女性は「妻」から「母親」に意識が変わります。
子どもが生まれると、男性も「夫」から「父親」に意識が変わっていきます。

 

 

そうして、お互いに「パパ」「ママ」と呼び合っているうちに、いつの間にか、
無意識に相手を自分の父親や母親であるかのように錯覚してしまうのです。

 

 

こうなったら、仲は良くても、もう男と女の関係ではいられません。
感覚としては親子のようなものですから、自然とセックスはタブーになります。
夫婦のセックスを、近親相姦のように感じてしまうわけです。

 

こういう夫婦関係は、必ずしも悪いわけではありませんが、
どんなときも「パパ」と「ママ」であり続けていると、
いつしか、お互いに夫婦として向き合えなくなってしまいます。
このために、長期的な問題に発展していくケースも少なくないのです。

 

 

 

【“近すぎる距離感”への傾向と対策】

 

 

距離感が近すぎるために、セックスレスになってしまう…。

 

この場合は、お互いに心理的な距離の取り方を見つめ直す必要があります。
いつも同じ目線、いつも同じ距離感で相手と接していると、
ふたりの関係性というものが固定化され、マンネリに陥ってしまいます。

 

 

…そこで、思い出してみてください。

 

 

ふたりの関係性は、はじめてからずっと同じではなかったはずです。

 

 

知り合う前は、見ず知らずの「赤の他人」。
それが知り合ってから「知人」になり、「友人」になり、
やがて「恋人」になり、「夫婦」になったはずです。

 

今、ふたりの関係性は「家族」になり、
それはやがて「親子」や「兄妹」の関係に近づいてしまいました。

 

こうなると、夫婦のセックスに近親相姦のような錯覚が生まれ、
セックスに対する嫌悪感や、違和感を覚えるようになります。

 

 

でも。

 

ふたりはそれまで、「他人」や「知人」、「友人」や「恋人」と、
さまざまな関係性を築いてきたわけですから、
その頃の感覚を取り戻すことも不可能ではないはずです。

 

 

家族もいいけど、たまには少し距離を感じる恋人に戻れたら、とっても刺激的です。
たとえば、夫婦ふたりだけで外で待ち合わせて、食事やデートを楽しむ、とか…。
一日中いっしょにいて、ホテルや温泉でのんびり一泊…なんていうのも素敵です。

 

 

子どもが小さいうちは、なかなかそんな余裕はないかもしれませんが、
そこはできるだけベストを尽くしてみましょう。?

 

 

 

【ネガティブな感情】

 

 

セックスレスのもうひとつの大きな原因は、相手に対するネガティブな感情です。

 

 

パートナーに対して、不満や怒り、嫉妬や憎しみなど、
ネガティブな感情を抱いてしまい、セックスできなくなるケースです。
相手の浮気発覚など、何か決定的な出来事があって、という場合もありますが、
むしろ日常的な小さな不満が積もり積もって……という場合が多いようです。

 

 

たとえば、玄関で脱いだ靴を揃えない。
洗濯に出すズボンのポケットにティッシュを入れっぱなし。
頼んだ買い物をしょっちゅう忘れる。
キッチンのシンクに痰を吐く。

 

 

ひとつひとつは、言ったその場ですぐに忘れてしまいそうなことだけど、
何度注意しても直らない。直そうという意志が感じられない。
そんな小さな不平不満が、毎日毎日、蛇口から漏れる水滴がコップの底に溜まるように、
少しずつ、少しずつ、水位を上昇させていって……。

 

ある日突然、溜まりにたまった不満があふれだすのです。

 

 

一度そうなったら最後、セックスどころか、触られただけで鳥肌が立ちます。
同じ部屋の空気を吸うのも嫌。夫が近づいてきたら、大急ぎで逃げ出したくなります。

 

あるいは…。

 

パートナーに隠し事をしているなど、何かしらうしろめたさを感じている場合でも、
同じような反応をしてしまうことがあります。
相手に対する罪悪感から、「自分は罰を受けるべき」だと思いこんでいるため、
ついつい背中を向けてしまうのです。

 

 

嫌悪感や罪悪感のあるときには、誰だってその気にはなれないもの。
すると、夫もそういう気配を感じているからなのでしょうが、何故かそんなときに限って、
「仲直り…」なんて言いながらセックスを迫られたりして…。
ますます嫌悪感をつのらせてしまうこともあるのです。

 

 

 

【“ネガティブな感情”への傾向と対策】

 

 

相手への不満や怒りからくるセックスレスは、夫婦関係の危機に直結します。
ただし、元をたどれば、たいていは些細な感情の行き違いであり、
その原因はお互いのコミュニケーション不足にあります。

 

こんなことで腹を立てるなんて、バカバカしい…。
自分さえガマンすれば、ケンカにならずにすむ…。
そう思って、あなたはパートナーへの不満やイライラなどのネガティブな感情に
気づかないふりをして、心の中にそっとしまいこんでいるのではないでしょうか。

 

 

これを毎回くり返していると、抑圧されたネガティブな感情は、
気づかないうちにあなたの心の中でどんどん大きくなっていきます。
自分の中に、そんなおぞましい感情を発見して、あなたは思わずそこから目をそらします。
すると………あなたは、その原因をつくったパートナーからも目をそらすことになるのです。
いつの間にか、パートナーがネガティブな感情の象徴になっているわけです。

 

 

たとえケンカをしても、言いたいことをすべて吐き出してしまえば案外スッキリしますが、
どちらかが中途半端に折れてしまうと、かえって気持ちにしこりが残るものです。

 

 

その結果、夫婦で向き合うことができなくなり、
目も合わせられない、会話もない、冷え切った関係になってしまうかもしれません。

 

 

そこで、まずは自分自身の心と向き合うことから始めましょう。
自分が何をガマンしているのか、何を相手に伝えたいのか。
自分が溜めこんでいるネガティブな感情を、ひとつひとつ言葉や文章にして整理します。

 

 

パートナーもきっと似たような状態にありますから、同じことをするようにしてみます。
そして、お互いに納得がいくまでとことん話し合ってみましょう。
ふたりきりでは難しいようなら、第三者によるカウンセリングを受けてみるのもいいでしょう。

 

 

長年溜めこんだ感情のしこりは、そう簡単には解消できないかもしれませんが、
根気よく取り組んでいくことです。
そうすれば、いつかはパートナーへの愛情を取り戻せるかもしれません。